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Jリーグ 2か月前

異例の形。浦和レッズはなぜ渡邊凌磨のSB起用にこだわるのか。「話し合いの中で…」指揮官からのメッセージと狙い【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

3〜4分間続いた浦和レッズの異例の形



 相手もそこを狙ってくるのが当然だ。うまくかいくぐれたとしても、今度は前田と大久保の両ウイングを2枚がかりで止められる。そういった中、福岡に一瞬のスキを突かれ、Jリーグ初のイラン人選手、シャハブ・ザヘディにスーパーゴールを決められてしまう。湯澤聖人の縦パスが渡邊凌磨の足に当たりながら、ザヘディに渡り、そのまま持ち込まれる形で、渡邊にとっては悔やまれるミスになった。しかも、前半の0-1というのは浦和にとって想定外。巻き返すしかなかった。

 そこでヘグモ監督は「前半はダイレクトに狙い過ぎるプレーが多かった。後半はサイドに動かしながらボールをつなごう」と指示。後半スタート時から中盤3人が外への展開をより意識し、酒井宏樹と渡邊の両SBも積極的に上がって仕掛けるようになった。

 試合の流れを変える1つのポイントになったのが、59分の大久保と大畑歩夢の交代だ。左SBを本職とする大畑が入るのであれば、当然、渡邊が前に上がると思われたが、大畑が前に入り、渡邊は左SBのままだったのだ。

「昨日の練習終わりに『明日、サイドの前で使うから』って監督に言われました。クエスチョンもありながらも、出たらやるしかないと思ってました」と大畑は戸惑い気味に話していた。

 異例の形は3〜4分間続き、大畑が中に絞ることで大外の渡邊をフリーにし、より攻撃力を発揮させるという効果が見られた。その成果と言えるのが、サンタナとのワンツーから渡邊がゴール前に飛び込んで左足を振り抜いた62分の決定機。これを見たヘグモ監督は「ゲームをコントロールできる流れになったので、より前に慣れている凌磨を上げて、大畑を左SBに戻した」という。最初から渡邊を上げる選択肢もあったはずだが、あえてそれをしなかったところに「渡邊の左SB起用」に対する強いこだわりが伺えた。

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