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Jリーグ 2か月前

FC町田ゼルビア、なぜこれほど強い。主将・昌子源が明かすその“原点”。「もう当たり前になっている」ことは?【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

「昌子源をベンチに置ける状況がチームに安心感を生んでいる」

FC町田ゼルビアの黒田剛監督
【写真:Getty Images】



 鳥栖は前線の攻撃的な選手をフラットに並べて蹴り手にプレッシャーをかけ、さらに自軍の最終ラインの位置取りも高くして町田のロングボール戦法を封じにきた。さらにGK朴一圭もペナルティーエリア外で積極的にビルドアップに加わり、町田に対して数的優位な状況を作り出してきた。

 34分に同点とされたが、黒田監督は「同点にされる前から、前の選手がかわされた後にサイドバックのカバーリングが遅れ、そのスペースを使われる形が見られていた」と嫌な流れを感じ取っていた。

 失点後にメンバーを変えずに、左サイドバックの林幸多郎を前方に上げる変則3バックにスイッチ。さらに後半開始からは右サイドバックの鈴木準弥に代えて昌子を投入し、変則3バックの顔ぶれを左から昌子、ドレシェヴィッチ、チャン・ミンギュとセンターバックの選手で固めた。

 実は3バックへのスイッチに関して、黒田監督とあるやり取りがあったと昌子が明かす。

「今日は3バックの可能性もある、と言われていました。なので、もしかしたら既存の選手たちで3枚になるかもしれないし、例えば僕やマサ(奥山政幸)を入れるとか、いろいろな形で3バックはできる。どの形になってもいいように、リザーブの選手を含めてみんなで準備していました」

 前半終了間際に鈴木がイエローカードをもらっていたなかで、黒田監督は昌子との交代を決断した。

「監督には『ゲームを落ち着かせてくれ』と個人的には言われていました」

 失点後の変則3バックへの移行で落ち着かせた流れを、昌子はリーダーシップと周囲によく通る声を介してさらに色濃いものにした。後ろが安定した効果からか。町田はともに平河のアシストから、これまで無得点だったFWオ・セフンが54、57分と怒涛の連続ゴール。一気に勝負を決めた。

2度に及ぶ昌子のシュートブロックが飛び出した直後の70分には、黒田監督は藤本に代えて本来は右サイドバックの奥山を右ウイングバックとして投入。3バックへ完全移行して試合を締めた。

「3バックの選択肢もあるなかで、昌子をベンチに置ける状況がチームに安心感を生んでいる。昌子はわれわれコーチングスタッフにとっても、非常にありがたい存在だと思っています」

 4連勝の隠れた立役者とばかりに、黒田監督からその存在感を称賛された昌子は、試合に絡めなかった時期に身をもって経験した、町田が発揮する強さの原点をこんな言葉で明かしている。

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