セットプレーは西野Jの得点源となるか
西野ジャパンはこの日、セットプレーの練習に多くの時間を割いている。ワールドカップでは守備に回る時間が長くなると予想され、セットプレーをチームの得点源としたいところだ。
キッカーを務めたのは本田圭佑、宇佐美貴史、大島僚太、乾貴士、香川真司、柴崎岳の6人。そして、彼らが供給したボールを吉田麻也、大迫勇也といった強さのある選手たちが合わせ、岡崎慎司も得意とする打点の高いヘッドが戻った印象だった。
止まったボールを蹴れるということで、優秀なキッカーがいればそれだけゴールの可能性は高くなる。もちろんボックス内の選手の強さや高さ、駆け引きの巧さも大事な要素だが、質の高いボールが供給されなければネットを揺らすことはできない。
かつての日本代表には、中村俊輔や遠藤保仁といったワールドクラスのキッカーがいた。彼らが繰り出すボールに吸い寄せられるように、味方は何の迷いもなく走りこむことができた。重要な局面でこそ輝くキッカーがいてこそ掴んだ勝利も多かった。
西野ジャパンにもキックの巧い選手はいる。前述の6人はキッカーの候補だろう。最近では3月の欧州遠征で、柴崎がFKから槙野智章のヘディングゴールを演出している。ワールドカップ初戦までテストマッチは残り2試合。日々の練習を含めてアシストという成功体験を増やしたいところだ。
とはいえ、セットプレーを獲得しないことには何も始まらない。劣勢の展開で、少ない攻撃機会で相手を困らせるプレーをしなければ、FKもCKも得ることはできない。アタッカー陣には、相手がファウルで止めざるを得ないような果敢な仕掛けを見せる必要がある。言うまでもないが、ファウルを受けずにそのまま得点できればそれがベストである。
ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督は、セットプレーからの得点の少なさを嘆いたことがあった。西野ジャパンは、過去の日本代表が持っていた武器を取り戻すことができるだろうか。
(取材:元川悦子【ゼーフェルト】、文・構成:編集部)
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