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Jリーグ 2年前

横浜F・マリノスは「タイトルに一歩近づいた」。スタイルと融合する背番号30の持ち味、サッカー日本代表に呼ばない手はない【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

西村拓真は「2列目からの方が特徴を出せている」



 特筆すべきなのは、マンマーク気味にハメてくる広島へのプレス外しが奏功したこと。先発したボランチ・山根陸が「出して動いてを繰り返すしかない」と話したように、空いたスペースを突くダイレクトパスの応酬は目を見張るものがあった。ベンチスタートの藤田譲瑠チマも「1人1人が止まらずボールを受けて出してまた動くことを続けていたからこそ、広島の選手も混乱して下がらざるを得ない状況が何回もあった」と成果を強調していた。

 このハードワークの中心にいたのが、トップ下の西村拓真。J1トップの14.12kmの走行距離を記録したこの日も、献身性と鋭い前線への飛び出しが際立っていた。

「2列目からの方が僕の特徴を出せている。どんどん前向きなアクションを起こすことを意識しています」と本人も言う通り、トップ下を主戦場とする今季は豊富な運動量をより前面に出せている様子だ。西村が走って敵を引き付けてくれる分、味方も空く。レオ・セレア、アンデルソン・ロペス、水沼宏太、仲川輝人らがゴールを重ねているのも、背番号30の一挙手一投足と無関係ではないはずだ。

 いい流れの中、マリノスは前半32分に左サイドバック(SB)の小池裕太が水沼のクロスに反応して先制点をゲット。1-0で前半を折り返すと、後半13分に西村の見せ場がやってくる。レオ・セアラが下がって起点を作り、交代したばかりの宮市へ。そこから水沼へ展開した瞬間、同じく登場間もない右SB・小池龍太がペナルティエリア内に侵入。思い切りのいいシュートを放った。これをゴール前で待ち構えていたのが背番号30。巧みに右足を合わせ、日本代表GK大迫敬介の逆を突き、試合の行方を決める2点目を奪ったのだ。

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