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Jリーグ 9か月前

クローズアップされたヴィッセル神戸の「マイナス面」。優勝の前に立ちはだかる壁とは【コラム】

シリーズ:コラム text by 元川悦子 photo by Getty Images

今までとはひと味違った堅守速攻



「ジェアンが真ん中に入ったのは悪くなかったなっていう感覚が個人的にはあります。ジェアンは足元でも受けられるし、アバウトなボールもスピードがあるから、相手の脅威になれるというのが1つある。終盤は僕が一列前に入って、出したボールがチャンスになりましたけど、ああいう形が作れるのは彼のよさ。お互いのよさを生かしながら、チームとして攻撃を作って行くことも必要だと思います」と齊藤未月も前向きに語っていた。

 大迫とはタイプの異なるパトリッキのようなスピードタイプを有効活用しながら、いかに新たなパターンを築いていくのか…。速さと強さを兼ね備えた武藤の活用法も含め、吉田監督は多彩な戦い方を模索していくべきではないか。

 こうした中、現状で1つポジティブな点を挙げるとすれば、川崎に猛攻を仕掛けられた状態でもガッチリブロックを作って守り切れること。強固で粘り強い守備というのは今季の神戸の大きなストロングだ。23試合通算失点の19というのも、浦和レッズに次ぐ2位。そこは自信を持っていい。

「今日の川崎戦の後半も『攻撃がちょっと…』という捉え方もできるけど、しっかり守るところは守って、カウンターで1点取れればいいという考え方もある。実際、ジェアンのチャンスで2点目を取れていたら、スッキリした終わり方になっていたし、『したたかだった』と見ることもできると思います。

 大迫がいない時に大迫がいるようなサッカーするっていうのは難しいんで、いる選手の中でどの特徴を出してサッカーするかが大事なんです」

 酒井高徳は大迫不在のリスクも考えながら、「ひと味違った堅守速攻」を突き詰めていく重要性も口にしていた。確かにそれが現時点での最善策なのかもしれない。

 今月の神戸は柏レイソル、FC東京とゲームが待っているが、そこに大迫がいる保障はない。そういう時でも質を落とさず、違った勝ち方ができるようになれるのか。ここが初タイトルへの大きな関門と言えそうだ。

(取材・文:元川悦子)

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