[惜しくもW杯出場ならず]小国サッカー界の優等生、アイスランドサッカー成長の軌跡

北極圏直下に浮かぶ火山島の小さな国アイスランド。人口が少なく、平均気温も低い。また、過去には金融危機も起こった。にもかかわらず、人々は前を向き優秀なサッカー選手を輩出し続けている。小国の持つ可能性を現地取材によりレポートする。

2013年11月20日(Wed)10時51分配信

text by 長束恭行 photo Yasuyuki Nagatsuka
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【欧州サッカー批評issue7】掲載

5月中旬の試合でも気温は0度

[惜しくもW杯出場ならず]小国サッカー界の優等生、アイスランドサッカー成長の軌跡
アイスランド
面積:10万300平方キロメートル(北海道よりやや大きい)
人口:約32万人(2012年)
首都:レイキャビク

 ここは欧州の「北の果て」。青空に綿のような雲が浮かぶ5月中旬というのに、スタジアムの電光掲示板は気温0度を示している。風速10メートル超の海風が止むことなく吹きつけ、体感気温はマイナス10度以下。

 凍てつく寒さで私の手足はすっかり痺れてしまった。アイスランド人もニット帽やフードは必須のようだが、女性や家族連れも多く、これでも春のサッカー日和なのだろう。

 首都レイキャビクから50キロ離れたケプラヴィークは、同国唯一の国際空港がある人口約8000人の街。同名のクラブは、リーグとカップを4度ずつ制覇した中堅だ。本拠地「ネットヴォトルリン」のピッチ上で選手がウォーミングアップしている頃、スタンドではバケツ片手の少年たちが雑巾でせっせと椅子の汚れを拭き取り始めた。

 入口から続く小屋では、婦人方が暖を取るためのコーヒーを準備中。奇異な溶岩台地を背後にした港町に「牧歌的」という言葉は似つかわしくないかもしれないが、紛れもなくアットホームな空気が流れている。千席余りのメインスタンドは地元の人々と敵サポーターで7割が埋め尽くされた。もちろん、両者を分け隔てる警官隊や警備員は存在しない。

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