「醜いサッカーに徹しなければならないこともある」。理想論では勝ち抜けないW杯。必要なのはクラッキではなく“うるさい”奴

日本代表も掲げる「美しいサッカー」。しかし、これはW杯で勝ち抜くために本当に有効なのか? 南アW杯で過去最高の結果を残した岡田ジャパンは守りを固めるサッカーだった。そして、94年アメリカ大会を制したブラジル代表も守備的だった。

2014年06月02日(Mon)11時47分配信

text by 田崎健太 photo Sachiyuki Nishiyama
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“うるさい”奴だったドゥンガ。クラッキより必要な「怒鳴れる選手」

「醜いサッカーに徹しなければならないこともある」。理想論では勝ち抜けないW杯。必要なのはクラッキではなく“うるさい”奴
ジウマール・ルイス・リナルジ【写真:Sachiyuki Nishiyama】

 元ブラジル代表ゴールキーパーのジウマールにとって、セレッソ大阪は古巣に当たる。そのセレッソ大阪出身の日本代表選手、香川真司、清武弘嗣、柿谷曜一朗は才能を持って生まれてきたごく一握りの選手――「クラッキ」だと高く評価している。

「加えて本田(圭佑)もクラッキだ。今の日本代表選手の能力は高い。ここまでいい選手が揃ったことは過去になかった」

 その上で「ただ」と付け加えた。

「W杯はW杯だ。他の大会とは全く雰囲気が違う。勝ち抜けるかどうかは別問題だ」

 他の大会とは比べものにならないW杯のプレッシャー――ジウマールがそれを肌で感じたのは94年アメリカ大会のことだった。

 90年W杯イタリア大会で惨敗したメンバーを引き継いでいたため、大会前からセレソンに対するブラジル国内の見方は冷ややかだった。

 その標的となっていたのが、キャプテンのドゥンガだった。「エラ・ドゥンガ」(ドゥンガの時代)と呼ばれ、事あるごとにドゥンガは揶揄された。

 同じヒオグランジ・ド・スール州出身、インテルナシオナルで一緒にプレーしたジウマールはドゥンガの良き理解者だった。ジウマールはドゥンガがそうした批判を気にしていた記憶がない。ドゥンガはめげるどころか、チームメイトを叱咤激励していたという。

「あのときのチームは、間違ったことをしている人間がいたら、怒鳴ってもいいという雰囲気があった。特に、ドゥンガは“うるさい”奴だった。ドゥンガは90パーセントしか出していない選手がいたら、“100パーセントを出せ”と怒っていた。チームにはそうした選手が必要なんだ」

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