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元イタリア代表監督が語る日本の敗因。「守備があまりに脆弱。前と後ろでまるで別なチーム」

text by クリスティアーノ・ルイウ photo by Getty Images

「ギリシャが示した事実こそがサッカーの本質」

――つまり、このギリシャの躍進は“サプライズ”ではないと。

「初戦を終えた時点に立ち返って考えれば、確かにそれはサプライズなのだろう。あのコロンビアにほぼ“容易く”敗れた初戦の後、あの時点でまさかギリシャが上に行くとは多くの人が考えてはいなかったはずだからね。むしろ、この私も含めて、今大会の出場32ヶ国の中でギリシャこそが最も技術的に劣るチームであるとさえ考えるほどだった。

 ところが、そんな我々の予想に反して、彼らは初戦の負けをむしろ糧として見事に立て直しては2戦目に臨んできていた。確かにそのベースとなる戦術あるいは“サッカーの質”という意味において、またはその戦い方に賛否両論はあるのだろうが、あれこそがギリシャのサッカーであるのだから、その強靭な守備力を最大限に生かそうとするスタイルを貫いた彼らに間違いは一切ない。

 それこそ2004年に欧州選手権で奇跡の優勝を遂げてみせたときのように、怯むことなく、堅い守りとカウンター、これに徹することでギリシャは勝ち点を取り、最終戦に望みをつなげてみせた。ここでの“強かさ”を見せ得た時点で、もはやギリシャは“サプライズ”ではなくなっていた。

 その上で、特筆すべきはやはり、上に行くために必要な勝ち点4を、3試合中2試合を10人で戦いながら彼らが手にしてみせたことだ。これは言うほど簡単じゃない。むしろそれは至難を極める業だ。

 そして、まさにこのギリシャが示した事実こそがサッカーの本質、その一端を雄弁に物語っているとも言えるのではないか。とはいえ、それは何ら特別なことではない。単にサッカーとはやはり、“最後まで何が起こるか分からない”という至極当たり前のことなのだが。

 しかし、敗れ去るチームというのは、往々にして、この本質的なところを見失っているものだ。そう考えれば、スペインとイタリア、あるいはロシアやイングランドといった国々が敗れるべくして敗れたとする見方に、あるいは一定の根拠があると言えるのではないだろうか」

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