「得点数は同じ『2』。しかし手にした勝ち点はギリシャの『4』に対して日本は『1』」
――コロンビアは言わば順当に勝ち進んだと評される一方で、ギリシャの奮闘を認め称えつつも、それでもやはり、コートジボワールの敗退は予想外の結果だったと言わざるを得ないと思うのですが。
「さきほども述べたように、その戦力という意味では明らかにコートジボワールはギリシャの遥か上のレベルにあった。したがって開幕前には私もコロンビア1位、コートジボワール2位を半ば信じて疑っていなかったほどだ。
なぜなら、“あのドログバ”の圧倒的な実力と存在感はもちろんのこと、もうひとりの世界屈指のFWジェルビーニョをも彼らは擁し、だけでなく他にも各ポジションに優秀な選手達を満遍なく備えていたからだ。
事実、あのコロンビアが最も苦しんだのは他ならぬ対コートジボワールであり、そのコロンビアはVSギリシャとVS日本ではさほど苦労することなく勝っている。
いずれにせよ、コートジボワールは最終戦で、引き分けで上に行けるという試合であったにも関わらず、あろうことか後半ロスタイム(92分)に稚拙極まりないプレーでPKを献上し敗れることになった。今なお残るアフリカ勢特有の荒さというべきか。
だが、こうした経験を積むことで彼らは必ずやさらに強くなってみせるのだろう。驚異的な身体能力を彼らが持つことは今にして言うまでもないのだから、そのポテンシャルに今よりも少しばかり高い精密さが加われば、そしてそれが彼らアフリカ勢に共通する性質と言われるようになれば、あるいは近い将来にW杯8強の半数を彼らが占める時代が来るのかもしれない、とさえ思う」
――では、一方の日本代表について、その戦い方はどう見るべきなのでしょうか。開幕前には『W杯優勝』を宣言する彼らの声がここ欧州にも届いていたため、期待も大きかったのですが、結果はといえば勝ち点は僅かに「1」。
「得点数はギリシャと同じ『2』。しかし手にした勝ち点はギリシャの『4』に対して日本は『1』。この結果は、言うまでもなく、件の守備力という強靱性の差ということになる。確かに、日本の守備網には常に危うさという印象がつきまとっていたように思う。敢えて言えば、あの網に“穴をあける”のはそれほど難しくはない。
ただ、ザックに率いられた日本代表が前(攻撃陣)には一定のレベルにある選手達を揃えていたからこそ、あの守備網の脆さはやはり残念でならない。前と後ろではまるで異なるチームのように映ったとさえ言うべきなのだろうか。
もっとも、これもまた言わずもがなだが、サッカーにおける守備力というのは何もDF陣だけの能力によるものではない、あくまでもFW陣を含むすべての力を指すものではあるのだが。
ザック率いるチームだったからこそ期待し、もちろん応援もしていたんだが……。実に残念な結果だった」