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Jリーグ 5年前

2008年Jリーグ。鹿島が2連覇、千葉は7分間で奇跡のJ1残留。北京五輪では…【Jリーグ平成全史(16)】

シリーズ:Jリーグ平成全史 text by 編集部 photo by Getty Images

主な出来事

2008 Jリーグ 順位表
2008年のJリーグ結果

 Jリーグ開幕直前の恒例行事「XEROX SUPER CUP 2008」ではサンフレッチェ広島が鹿島アントラーズをPK戦の末に破って、J2クラブとして初のスーパーカップ制覇を成し遂げた。広島は天皇杯決勝で鹿島に敗れていたが、このタイトルを皮切りにJ2で第1節から一度も首位の座を譲ることなく、独走で7試合を残して優勝。1年でのJ1復帰を確定させた。もう1つの昇格クラブは2位のモンテディオ山形だ。

 J1では序盤に2連敗を喫した浦和レッズでホルガー・オジェック監督が解任されたものの、立て直して鹿島やFC東京、柏、名古屋、大分などと熾烈な上位争いを繰り広げた。大分はペリクレス・シャムスカ監督の指揮のもと、堅守速攻のカウンター戦術で勝ち点を積み重ね、26節時点で首位にも立った。

 しかし、優勝したのは前年に続いて鹿島だった。こちらも堅実に勝ちを重ね、勝てば自力優勝を決められる状態で最終節に臨む。川崎Fや名古屋も優勝の可能性を残していたが、オズワルド・オリヴェイラ体制2年目で熟成期にあった鹿島は、すでにJ2降格の決まっていた札幌に勝利してJリーグ2連覇を達成した。

 当時の鹿島にはA代表として存在感を高めていた内田篤人をはじめ、岩政大樹、曽ヶ端準、新井場徹、野沢拓也、小笠原満男、青木剛、本山雅志、ダニーロ、マルキーニョス、興梠慎三、田代有三、中田浩二、伊野波雅彦といった錚々たる面々が揃っていた。

 一方、残留争いは混沌としたものに。昇格組だった札幌はダヴィがリーグ2位となる16得点を挙げながら、守備の整備が追いつかず崩壊。70失点を喫し、前年の横浜FCと並ぶ最速タイの5試合を残してのJ2降格が決まった。

 ただ31節終了時点では10位の柏から17位の千葉まで8クラブが残留を争う大混戦に。直後の第32節では残留争い直接対決が多く組まれた。そこで11位の京都と17位の千葉は敗れたが、10位の柏は15位の岩田と引き分けたことで残留を確定させた。

 続く第33節では千葉が窮地に追い込まれる。残留争い直接対決の大宮と横浜FMに連敗して大一番を迎えた千葉は、巻誠一郎が2ゴールと気を吐くも、下村東美のオウンゴールやエディ・ボスナーの退場などもあって清水エスパルスに2-3で敗戦。最終節は守備の要を出場停止で欠いて迎えるという、絶体絶命の状況に追い込まれた。

 最終節で自動降格の可能性が残っていたのは磐田、東京V、千葉の3クラブ。入れ替え戦に回る可能性があったのは先の3クラブに大宮、新潟を加えた5クラブだった。磐田はハンス・オフト監督のもとで低迷し、東京Vは退団したフッキの穴を埋められず低調に。千葉も指揮官交代を経てアレックス・ミラー監督を招へいしたが、下位を抜け出すことはできていなかった。

 13位の大宮と14位の新潟には自動降格の可能性がなく、大宮は引き分け以上、新潟は勝てば自力残留を決められる状況だった。千葉は得失点差で東京Vや磐田を大きく下回っており、逆転残留には「東京Vと磐田がともに敗れたうえで勝利」という厳しい条件をクリアしなければ自動降格を避けることができない。

 だが、奇跡は起きた。カボレと長友佑都にゴールを許しFC東京に2点の先行を許した千葉だったが、終盤に怒涛の反撃を見せる。74分の新居辰基の1点をきっかけに、77分に谷澤達也、80分にレイナウドと立て続けにゴールを奪って、わずか7分で逆転に成功する。そして最後は85分に谷澤が再び決めて、4-2で大逆転勝利を収めて他会場の結果を待った。

 ホームに川崎Fを迎えていた東京Vは後半途中まで0-0のまま粘っていたが、64分にレナチーニョ、89分に中村憲剛と2点を失って敗戦。さらに磐田も終盤まで0-0で耐えていたが、75分に小林大悟にゴールを破られ大宮に敗れた。

 千葉は絶体絶命の状況からの奇跡的な逆転劇で自力残留を手繰り寄せた。FC東京に勝利したうえで、磐田と東京Vがともに敗れるという厳しい条件を大逆転でクリアしたのである。17位になった東京VはJ1昇格から1年でJ2降格、16位になった磐田はベガルタ仙台とのJ1・J2入れ替え戦に回ることとなった。

 その入れ替え戦は第1戦で1-1、第2戦は2-1となり2戦合計3-2。磐田がホームで勝利を収め、J1残留を決めた。第1戦で1ゴール、第2戦で2ゴールを奪い、磐田の全得点を記録したプロ2年目の松浦拓弥がヒーローとなった。

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