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Jリーグ 2年前

盟友の死、最悪のミス…。それでもなぜサンフレッチェ広島は立ち直ったのか?【コラム】

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YBCルヴァンカップ決勝、セレッソ大阪対サンフレッチェ広島が22日に行われ、1-2で勝利した広島はタイトルを獲得した。前日に元チームメイトの工藤壮人さんを亡くした佐々木翔は、試合で痛恨のミスを犯した。それでもチームは崩れることなく、劇的な逆転勝利を収めている。【連載:この男、Jリーグにあり】(取材・文:藤江直人)


亡くなった工藤壮人さんに「失礼なプレーは絶対に見せられない」


【写真:Getty Images】

YBCルヴァンカップ決勝のキックオフが目前に迫っていた国立競技場のピッチで、サンフレッチェ広島のキャプテン、DF佐々木翔は涙を頬に伝わせていた。

対峙するセレッソ大阪の選手たち、そして審判団がセンターサークル上で輪を作り、両チームの首脳陣やリザーブの選手たちはベンチ前に並ぶ。決勝前日に急逝した元日本代表FW工藤壮人さん(享年32)へ30秒間の黙祷を捧げていた間に、佐々木の涙腺はいつしか決壊していた。

試合を終えた後の取材エリア。佐々木は苦笑しながら「隠していてもしょうがないので」と自ら切り出す形で、大一番を前に図らずも流した涙の意味を明かした。2017シーズンから2年間、チームメイトとして喜怒哀楽を共有した工藤さんへ捧げた思いが反映されていた。

「僕が知ったのは今朝でした。感情を整理するのも、言葉で表すのもなかなか難しいところもありましたし、正直、黙祷のときには涙が出てきてしまいました。それでも僕たちが健康でサッカーができるいまの環境に感謝しながら、彼の分もプレーし続けなきゃいけない。失礼なプレーは絶対に見せられない、精いっぱいのプレーをしようと。そういう感情でした」

J3のテゲバジャーロ宮崎が、所属する工藤さんの死去を公式ホームページ上で発表したのは21日深夜。広島の選手たちのほとんどは決勝に備えて就寝していて、佐々木や広島ひと筋19年目の大ベテラン、36歳のMF青山敏弘らは起床後に訃報に接した。

宮崎からは18日の段階で、体調不良を訴えた工藤さんが脳室に過剰な脳脊髄液が溜まって脳を圧迫し、さまざまな障害を引き起こす水頭症と診察され、11日に手術を受けるも容態が悪化。17日から集中治療室(ICU)に入って治療を受けていると発表していた。

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