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Jリーグ 1年前

町田ゼルビアは何が変わったのか? 前例のない改革の正体と日常に生まれた変化【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

黒田剛が掲げるコンセプト



 コンセプトの大前提は、1995年から監督を務めてきた青森山田を、高校サッカー界屈指の常勝軍団へ育て上げたメソッドの延長線上にある。インターハイ、プレミアリーグファイナル、そして全国高校サッカー選手権を合計7度制した黒田監督は、こう公言してはばからない。

「勝つ、イコール、守れることだと思っています」

 その上で新戦力にはプロならではの武器を求めた。守備陣では高さと強さとなる。例えば38歳の大ベテラン・深津康太、昨シーズンの主軸を務めた高橋祥平らが残留したセンターバック陣には、自軍だけでなく相手ゴール前でも存在感を発揮できる選手を求めた。

 新戦力のスペイン出身のカルロス・グティエレスは192cm82kg、韓国出身のチャン・ミンギュ(ジェフ千葉)は183cm79kgのサイズを持つ。そのなかで原靖フットボールダイレクターは、186cm82kgの巨躯を誇る左利きのセンターバック、池田樹雷人をこう語る。

「昨シーズンのJ2における空中戦での勝率が最高位に近い選手であり、黒田監督が求めているセットプレーからの得点力アップにおける期待も込めて獲得しました」

 スコアレスドローで勝ち点1ずつを分け合った仙台との開幕戦に続いて、再び町田GIONスタジアムにザスパクサツ群馬を迎えた26日の第2節。両チームともに無得点で迎えた38分にゴールネットを揺らし、新生ゼルビアのファーストスコアラーになったのは池田だった。

 群馬のペナルティーエリアの右側で獲得した直接フリーキックで、角度のない位置からボランチの下田北斗が利き足の左足を振り抜く。弧を描きながらゴール中央に向かってくる低くて速いボールに勢いをつけて飛び込み、最後は後頭部のあたりにボールを当てた池田は試合後にこう語った。

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