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Jリーグ 1年前

町田ゼルビアは何が変わったのか? 前例のない改革の正体と日常に生まれた変化【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

“右サイドの三笘薫”


【写真:Getty Images】



 特別指定選手に登録された山梨学院大時代に、すでにJ2リーグ戦で17試合に出場。2ゴールをマークしている171cm68kgの小柄なアタッカーは、例えるなら“右サイドの三笘薫”を連想させるようなドリブルでの仕掛けを何度も披露。群馬戦では先制点に繋がるファウルを獲得した。

 J1勢との練習試合でも存在感を示したプレシーズンも踏まえながら、黒田監督も「ひとつのポイントとして、あそこは狙うという意図がある」と平河がすでに欠かせない存在となっていると強調する。それでも平河自身はゴールに直接絡めていない今シーズンの自分に物足りなさを募らせる。

「昨シーズンも特別指定うんぬんに関係なく、責任を持ってプレーしていました。責任という部分では一緒ですけど、昨シーズン以上に結果に対してこだわりを持ってプレーしたいので」

 横浜FCを皮切りに清水エスパルス、FC東京、フィテッセ、名古屋グランパスでプレー。昨夏にパース・グローリーから加入したベテラン、35歳のDF太田宏介は平河を絶賛する。

「何よりも前への推進力が素晴らしいですよね。自分で仕掛けられるし、守備でも頑張れる。現代サッカーに必要なものを兼ね備えていて、あとは経験だけですよね。彼の生かし方をチームとしてもっと確立できて、彼自身も慣れていけば大化けすると思っています」

 対照的に仙台戦で左サイドを務めた新外国人のエリキは、群馬戦ではトップ下の髙橋大悟とスイッチ。さらにポジションを同じく新加入のFWミッチェル・デューク寄りに取り、2トップの一角としてプレーした。

 それでもエリキは仙台戦で78分にFW沼田駿也と、群馬戦では69分にFW荒木駿太と交代。ともに最初のカードでベンチへと下がっている。

 仙台戦ではデュークとの距離が空き、さらにデュークが186cm84kgのサイズを生かして空中戦で競り勝ち、前方へボールを流してもスペースへ走り込む回数も少なかったがゆえの交代だった。ならば群馬戦で最初に交代させた理由は何か。黒田監督は試合後にこう語った。

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