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Jリーグ 2か月前

無給、メールで逆オファー…。ファンウェルメスケルケン際がゼロから築いたキャリア「逃げることを意味する」の真意【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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FUJIFILM SUPER CUP 2024、ヴィッセル神戸対川崎フロンターレが17日に行われ、0-1で川崎が勝利した。18歳で海を渡ったファンウェルメスケルケン際は決勝ゴールという形で日本でのキャリアを華々しくスタートさせている。ただ、そこに至るまでの道のりは決して平坦なものではなかった。(取材・文:藤江直人)


公式記録に記された16文字

川崎フロンターレDFファンウェルメスケルケン際
【写真:Getty Images】

 公式記録に記された唯一の「得点経過」欄には、次のように記されていた。

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<相手GK クリア 相手DF 31 右足S>

J1リーグ王者と天皇杯覇者が対峙するシーズン開幕直前の風物詩、FUJIFILM SUPER CUP 2024で生まれた川崎フロンターレの新加入選手、右サイドバックのファンウェルメスケルケン際の決勝ゴールは、しかし、上記のような簡潔な記述だけで説明できるものではなかった。

 昨シーズンに悲願のJ1リーグ初優勝を果たしたヴィッセル神戸と、3大会ぶり2度目の天皇杯制覇で通算7個目の国内タイトルを獲得した川崎。両雄が激突した舞台となった東京・国立競技場を沸かせた川崎の先制ゴールが生まれたのは、エンドが変わった直後の48分だった。

 敵陣の右サイドで獲得した直接FK。ゲームキャプテンを務めるキッカーのMF瀬古樹は、日本代表に名を連ねる神戸の守護神、前川黛也の眼前でバウンドするボールを蹴り込んだ。体勢を崩しながらも必死に反応した前川が、両手でボールを弾き返す。これが<相手GK クリア>となる。

 そして、こぼれ球に真っ先に反応したのが神戸のMF山口蛍であり、前方の安全なエリアへ必死に蹴り出そうとしたキャプテンのプレーが<相手DF>となる。しかし、ここで山口との間合いを詰めてきたのが<31>だった。背番号で記された川崎の選手が、右サイドバックの際となる。

 もっとも、直後の際の右足によるシュートを表す<右足S>は補足する必要がある。

 クリアさせてなるものかと、ブロックに飛び込んだ際が右足にボールをヒットさせた。執念が乗り移ったボールはシュートと化して、前方にいたDFマテウス・トゥーレルの右足をかすめてゴールネットを揺らした。ゴールライン上でブロックに飛んだDF山川哲史の右足もわずかに届かなかった。

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