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Jリーグ 1か月前

なぜ通用しなかった? FC町田ゼルビアの武器を封じた方法とは。無敗対決を制したサンフレッチェ広島の自己流【コラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

ストロングポイントが凝縮されたサンフレッチェ広島の先制点



「球際でのパワーやスピードといった面で、僕たちには強さといったものがチームとしてある。なので、基本的にミラーゲームになれば、僕たちとしてむしろありがたいと思っていました」

 ありがたいと感じた理由を荒木が説明すれば、1トップを務めてきたピエロス・ソティリウの負傷離脱に伴い、ポジションをボランチから本来のシャドーに上げて2試合目の満田誠も続いた。

「僕たちはミラーゲームで紅白戦などをしているので、そういった点では慣れているのかな、と」

 1対1の攻防で町田を上回り、セカンドボールの回収率を高め、相手選手の背後を突いて入れ替わるようにカウンターを仕掛ける。ストロングポイントを前面に押し出した広島の戦い方は、15分に荒木が負傷退場し、右ウイングバックの中野就斗が荒木の位置に入った後もほとんどぶれなかった。

 FW大橋祐紀が31分に決めた先制点には、広島のストロングポイントがすべて凝縮されていた。

 町田のDFドレシェヴィッチが放ったロングボールを、身長194cm体重93kgの巨躯を誇るFWオ・セフンが中野に競り勝って前線へとすらす。ここまでは町田の狙い通りだった。しかし、セカンドボールの攻防でFW藤尾翔太が広島のキャプテン、DF佐々木翔に後塵を拝してしまう。

 次に町田の柴戸海、広島の松本泰志と両ボランチが競り合うもボールは再びこぼれる。さらにオ・セフンに対して170cm63kgの満田が詰め寄ると、こぼれ球は激しいデュエルを介して左タッチライン際にいた広島の左ウイングバック、東俊希のもとへ。すかさず広島のショートカウンターが発動された。

 ペナルティーエリアが見えてきたあたりで、東は内側をフォローしてきた満田へボールを預けた。

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