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Jリーグ 9か月前

ヴィッセル神戸の強さの秘密に迫る。大迫勇也、武藤嘉紀が不在でも首位。明確な役割分担が成功をもたらす【戦術分析コラム】

シリーズ:戦術分析コラム text by らいかーると photo by Getty Images

なぜヴィッセル神戸は主力選手が不在でも成功しているのか

 大迫と武藤の代わりに、あらゆるエリアで空中戦と地上戦でボールをマイボールにするために奮闘しています。CFの佐々木がどこかへ移動してしまってもFW仕草を得意とするエリキと宮代大聖が控えているので、大きな問題にはならないところは、大迫の幅広い動きを補完する設計と全く同じです。無茶振りによって何でも屋になりつつある佐々木はサイドに流れて周りの選手とのコンビネーションを発揮しチャンスメイクもこなします。

 このように不在の選手の役割をこなせる選手の台頭や補強によって、神戸はチームの設計をそのままに機能させることに成功しています。プレーモデルがはっきりしているからどのような選手を補強すればいいかを明確にすることはチームの成功にとって大きな要因となります。

 他所を見ると、リカルド・ロドリゲスのサッカーを理解し、実行できる選手に入れ替えたことで柏レイソルは成功しています。神戸の場合は、プレーモデルの明確化というよりは、各ポジションの役割が明確であることが補強を助けているのではないでしょうか。

 今季の神戸の特徴として、3バックでビルドアップをするときに中央にいるべきマテウス・トゥーレルが左寄りにいることで、永戸を前に押し出しながら、困ったときは前川黛也を右CBとして振る舞わせる形を準備してきています。

 相手のハイプレッシングに対して、選択肢を減らされた状況ではなく、自分たちのタイミングでハイボール作戦やショートパスによる前進を企んでいるのでしょう。自分たちのタイミングでロングボールを蹴ることで、空中戦の競る場所と周りの状況を整備することができます。誰が誰と競り合うかも大事ですが、空中戦の周りの選手の裏抜けやセカンドボール拾う隊などの役割分担も同じくらいに大事な要素です。

 猫も杓子も【3-2-5】の時代は、Jリーグにも訪れています。ボール保持を【3-2-5】で振る舞うチームはボール非保持を【5-2-3】で組むことが多いです。つまり、誰が誰をマークすべきかで迷いが起きにくいかみ合わせになっています。それゆえに【3-2-5】からどのように変化して相手の守備の狙いを外すかが、各チームの色になっている今季のJリーグです。

 そんなJリーグの流れに逆らうように【4-4-2】を普段着としているチームもわずかに残っています。鹿島アントラーズ、浦和レッズ、川崎フロンターレ、神戸がその代表例でしょうか。【4-4-2】のままで、【3-2-5】に向き合うことはマークがかみ合わないので、骨の折れる作業が待っています。そんな骨の折れる作業をものともせずに、昨年に優勝した神戸のボール非保持の振る舞いについて改めて考えていきます。

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