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藤江直人

「海外のサッカースクールではお金なんて取らない」。いわきFC、地域を巻き込んだ未来への投資【いわきFCの果てなき夢】

天皇杯全日本サッカー選手権でJ1の北海道コンサドーレ札幌を撃破するなど、2017年の日本サッカー界に強烈すぎるほどのインパクトを残したいわきFC。2018年はJ1から数えて6部に相当する、東北社会人2部南リーグを主戦場とするアマチュア軍団は、行政を含めた地域を力強く巻き込む象徴となり、大きく広がりを見せる輪の中核を担っている。異彩を放つ挑戦を追う本シリーズ。第3回は予想を上回るスピードで深まっている、いわきFCといわき市の絆を追った。(取材・文:藤江直人)

内田篤人、鹿島復帰で担う使命。7年半ぶり帰還の「背番号2」がつなぐ常勝軍団のバトン

プロの第一歩を踏み出した古巣、鹿島アントラーズに約7年半ぶりに復帰した元日本代表DF内田篤人(前ウニオン・ベルリン)が9日、復活を期す2018シーズンへ始動した。同日に茨城県鹿嶋市内で行われた、チームのシーズン初練習で約1時間半にわたってすべてのメニューを消化。3年前から苦しめられてきた右ひざへの不安はまったくないと強調した内田は、昨シーズンを無冠で終えた常勝軍団を背中で引っ張るために、歴史と伝統が凝縮されたバトンを力強く握りしめる。(取材・文:藤江直人)

悲願の選手権初優勝。双子の涼と悠、前橋育英の中盤支えた田部井兄弟の絆

前橋育英(群馬)が悲願の初優勝を勝ち取った。インターハイとの二冠を目指す流通経済大柏(千葉)と埼玉スタジアムで対峙した、8日の第96回全国高校サッカー選手権大会決勝で、後半アディショナルタイムにFW榎本樹(2年)が0‐0の均衡を破る劇的な決勝弾を一閃。昨年の決勝で青森山田(青森)に0‐5の惨敗を喫してから1年。屈辱を糧にはい上がってきた軌跡を、キャプテンを務めた涼、副キャプテンの悠の田部井兄弟(3年)が抱いた思いをもとに追った。(取材・文:藤江直人)

天皇杯で躍進、いわきFCを作った2人の男。投資価値が見出されたクラブのあり方【いわきFCの果てなき夢】

天皇杯全日本サッカー選手権でJ1の北海道コンサドーレ札幌を撃破するなど、衝撃的なジャイアントキリング旋風とともに脚光を浴びたいわきFC。2018年はJ1から数えて6部に相当する、東北社会人2部南リーグを主戦場とするアマチュア軍団の源流をたどると、時代が平成になった直後に偶然にも出会った、2人の男に行き着く。異彩を放つ挑戦を追う本シリーズ。第2回はクラブと親会社のトップが、四半世紀近い時空を乗り越えて共有したロマンに迫る。(取材・文:藤江直人)

好転するJリーグ。DAZN“裏効果”で観客動員数が向上、ルヴァン杯変革による育成への期待

Jリーグの2017シーズンを総括するメディアブリーフィングが21日、東京・文京区のJFAハウスで開催された。村井満チェアマン(58)がピッチ外を、原博実副理事長(59)がピッチ内をそれぞれ振り返ったなかで、前者で観客動員数、後者では課題だった若手の育成でポジティブな変化が見られたことが報告された。特に大幅増となったJ1の観客動員数には、2017シーズンからJ3までを含めた全試合を配信している『DAZN(ダ・ゾーン)』に導かれた、意外な変化が寄与していた。(取材・文:藤江直人)

“ハリルの呪縛”に縛られた選手たち。歴史的惨敗の原因、後味の悪さだけが残った日韓戦

日本代表が歴史的惨敗を喫した。引き分け以上で2大会ぶり2度目の優勝が決まった、16日の韓国代表とのEAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会最終戦で、開始早々にPKで先制しながら守備陣が崩壊。ホームにおける韓国戦では実に63年ぶりとなる4失点を喫し、スタンドから痛烈なブーイングを浴びた。来年のワールドカップ・ロシア大会へ向けた、国内組の最後のオーディションと位置づけられた大会の最後になって、攻守に著しく精彩を欠いた原因を追った。(取材・文:藤江直人)

植田直通、右SBで躍動の因果。ベンチでの学びが結実。3年越しの日本代表デビュー

初招集から3年近い歳月をへて、DF植田直通(鹿島アントラーズ)が待望のA代表デビューを果たした。味の素スタジアムで中国代表と対峙した、12日のEAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会第2戦で、本職のセンターバックではなく右サイドバックとして先発フル出場。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督から及第点を与えられた23歳は、さらに仕留めがいのある獲物を求めて、引き分け以上で2大会ぶり2度目の優勝が決まる12日の韓国代表との最終戦を見すえる。(取材・文:藤江直人)

無名の存在からハリルJのジョーカーへ。柏・伊東純也が右サイドにもたらす推進力

終了間際に決まったMF井手口陽介(ガンバ大阪)の劇的なゴールで、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)代表を1‐0で下し、EAFF E-1サッカー選手権2017決勝大会で白星発進したハリルジャパン。味の素スタジアムのピッチに送り込まれた14人の国内組のなかで、ビッグセーブを連発したGK中村航輔とともに存在感を示したのがFW伊東純也(ともに柏レイソル)だった。群を抜くスピードを武器に積極果敢に仕掛け続けた、ロシア大会の秘密兵器候補の現在地を追った。(取材・文・藤江直人)

阿部浩之&家長昭博という川崎Fの+α。優勝に多大な貢献、勝負強さ発揮した新戦力

川崎フロンターレが奇跡の大逆転劇で悲願の初タイトルを獲得し、幕を閉じた今シーズンの明治安田生命J1リーグ。大宮アルディージャに5発を見舞う快勝で鹿島アントラーズに勝ち点で並び、得失点差で追い抜いた2日の最終節。後半15分に生まれた、リードを3点に広げるキャプテンのFW小林悠のゴールは、長くフロンターレを支えてきたMF中村憲剛と小林が築いた土台に、今シーズンから加入したMF阿部浩之とMF家長昭博とが完璧に融合した結晶でもあった。(取材・文:藤江直人)

川崎F・中村憲剛、15年分の号泣。「やっぱり優勝はいいよね」。ようやく取れた胸のつかえ

川崎フロンターレが悲願の初タイトルを獲得した。首位・鹿島アントラーズを勝ち点2ポイント差で追う状況で迎えた、2日の明治安田生命J1リーグ最終節で大宮アルディージャを5‐0で一蹴。ジュビロ磐田と0‐0で引き分けたアントラーズと勝ち点72で並び、得失点差で上回る奇跡の逆転を成就させた。歓喜の瞬間が訪れた直後に等々力陸上競技場のピッチに突っ伏し、号泣したフロンターレひと筋15年のバンディエラ、MF中村憲剛(37)が胸中に抱いた思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

川崎F・谷口彰悟の激怒。奇跡の逆転優勝への覚悟。人事を尽くした先に待つ天命

奇跡の逆転優勝へ、川崎フロンターレが望みをつないだ。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝との関係で、1試合だけ分離開催された11月29日の浦和レッズ戦で、前半14分にキャプテンの小林悠があげた決勝点を死守。首位・鹿島アントラーズとの勝ち点差を2ポイント差に縮めて、12月2日の運命の最終節に臨む。レッズ戦であわや同点、そして終戦となる絶体絶命のピンチを救った直後に、チームメイトに対して激怒した日本代表DF谷口彰悟の覚悟を追った。(取材・文:藤江直人)

いわきFCが体現する日本サッカーの新基準。既存クラブとは明確に一線画す壮大な冒険【いわきFCの果てなき夢】

天皇杯全日本サッカー選手権大会でJ1の北海道コンサドーレ札幌を撃破するなど、痛快無比なジャイアントキリング旋風とともに脚光を浴びたいわきFC。J1から数えて7部に相当する、福島県社会人リーグ1部を主戦場としたアマチュア軍団は、既存のJクラブとは明らかに一線を画す壮大な夢を描いている。異彩を放つ挑戦を追う本シリーズ。第1回はクラブスローガン『WALK TO THE DREAM』に込められた思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

ACL制覇の浦和、阿部勇樹が流した涙。悪い時こそ先頭に立つ独自の主将像

浦和レッズが10年ぶり2度目の、日本勢としては2008シーズンのガンバ大阪以来となるアジア王者を獲得した。満員の埼玉スタジアムで行われた、25日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦。後半終了間際に決まった、0‐0の均衡を破るFWラファエル・シルバのゴールを守り切り、2戦合計で2‐1のスコアでアル・ヒラル(サウジアラビア)との死闘を制した直後に、キャプテンのDF阿部勇樹(36)が図らずも流した涙の意味を探った。(取材・文:藤江直人)

ぶれない男・槙野智章、“アンチ”も糧に心技体充実の時。「人生かけた闘い」、いざアジアの頂へ

浦和レッズが10年ぶり2度目のアジア制覇をかける、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝第2戦が、25日19時15分に埼玉スタジアムでキックオフを迎える。アル・ヒラル(サウジアラビア)との第1戦を1‐1で引き分けているレッズは、勝利はもちろんのこと、スコアレスドローでも優勝が決まる。最終ラインで際立つ強さと存在感を放ち、定位置を奪いつつあるハリルジャパンから好調を持続しているDF槙野智章(30)は一世一代の戦いを熱く、そして冷静に待っている。(取材・文:藤江直人)

「秋春制」への移行プラン、その論点は? JFAが語るメリット、Jリーグが示す難色

Jリーグの「シーズン移行」に関する議論が大詰めを迎えた。1993シーズンから採用されてきた春秋制を、ヨーロッパと同じ世界基準にしたいと提案してきた日本サッカー協会の田嶋幸三会長が、14日のJリーグ実行委員会に続いて21日の同理事会でもプレゼンテーションを実施し、移行するメリットを訴えた。これを受けて村井満チェアマンは12月の理事会で最終的な判断を下すと明言したが、約8割の実行委員が反対している現状もあり、否決されることが確実となっている。(取材・文:藤江直人)

徳島・渡大生、J2日本人得点王の涙。23ゴールを記録も、届かなかったJ1昇格PO

劇的な結末となった19日の明治安田生命J2リーグ最終節。試合終了間際に喫した失点で東京ヴェルディに屈し、王手をかけていたJ1昇格プレーオフ進出を逃した徳島ヴォルティスで、異彩を放ったのがFW渡大生だ。ヴェルディ戦でも一時は同点とするボレーを決めた24歳は得点ランキングで2位、日本人では最多となる23ゴールをマーク。オフの移籍市場で間違いなく脚光を浴びそうな、176センチ、62キロのボディに異能の得点感覚を宿したストライカーの思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

川崎Fの執念。失意のルヴァン杯決勝からの復活。奇跡への序章になることを信じて

川崎フロンターレが土壇場で踏みとどまった。負ければ鹿島アントラーズの連覇が決まる18日の明治安田生命J1リーグ第32節で、スコアこそ1‐0ながらシュート数では25対1とガンバ大阪を攻守両面で圧倒して、勝ち点差を4ポイントに縮めた。YBCルヴァンカップ決勝でセレッソ大阪に屈し、悲願の初タイトル獲得を逃してから2週間。失意のどん底に叩き落されたメンタルを蘇らせ、価値ある勝利を手にした3つの要因を、大黒柱のMF中村憲剛(37)の言葉から紐解いた。(取材・文:藤江直人)

大宮・石井正忠新監督が挑む「奇跡のJ1残留」。残り3試合で4ポイント差、火中の栗を拾う覚悟

リーグ戦が残り3試合の段階で、大宮アルディージャの監督に電撃就任した鹿島アントラーズ前監督の石井正忠氏(50)が7日、さいたま市内のクラブハウスで就任会見に臨んだ。古巣から託されたミッションは、現在17位のチームを逆転でJ1残留に導くこと。会見の途中で思わず目頭を熱くさせた新指揮官の脳裏に描かれていた、アントラーズを昨シーズンのJ1&天皇杯の二冠に導いた処方箋を、発売中の『フットボール批評issue18』で行ったロングインタビューから紐解いた。(取材・文:藤江直人)

鹿島V字回復のキーマン三竿健斗。常勝軍団の心臓部託された21歳ボランチの献身

鹿島アントラーズがJ1連覇に王手をかけた。浦和レッズがAFCチャンピオンズリーグ(ACL)決勝に進出した関係で、1試合だけ分離開催された5日の明治安田生命J1リーグ第32節で、5人の日本代表擁するACLのファイナリストから完封勝利をゲット。シーズン途中から指揮を執る大岩剛監督のもとでボランチのファーストチョイスとなり、常勝軍団を鮮やかにV字回復させるキーマン的な存在となっている21歳の新星、三竿健斗にスポットライトをあてた。(取材・文:藤江直人)

森島寛晃氏が見たC大阪の新たな歴史。2度の悲劇を経て、ついにたどり着いた初タイトル

セレッソ大阪が悲願の初タイトルを獲得した。埼玉スタジアムで川崎フロンターレと対峙した、4日のYBCルヴァンカップ決勝を2‐0で制して、通算12チーム目のカップウイナーズとして歴史に名前を刻んだ。フロントの一員として大一番を見守り、表彰式後には後輩たちの手で胴上げされた初代ミスター・セレッソ、森島寛晃氏(45)が抱いてきた思いをたどりながら、セレッソが歩んできた過去、現在、そして未来をあらためて描写する。(取材・文:藤江直人)

東京五輪へ、森保一監督が踏み出す第一歩。自国開催の強み、トルシエJの成功体験

2020年の東京五輪に臨むサッカーの男子代表監督に就任した、サンフレッチェ広島の森保一前監督(49)が10月30日、東京・文京区のJFAハウスで就任会見に臨んだ。目標として掲げる52年ぶりとなるメダル獲りへ、アジア予選を含めた真剣勝負のないスケジュールを逆にメリットとしてとらえ、出場資格をもつ1997年1月1日以降に生まれたすべての選手たちを対象に、日本サッカー界を挙げて情報を収集しながらベストかつ最強の五輪代表を作り上げていくと宣言した。(取材・文:藤江直人)

湘南、曹監督という羅針盤。試行錯誤経て到達したJ2優勝、新しい「湘南スタイル」

1年でのJ1昇格を28日に決めていた湘南ベルマーレが、3年ぶり2度目のJ2優勝で喜びに花を添えた。ホームにファジアーノ岡山を迎えた29日の明治安田生命J2リーグ第39節で、後半終了間際に追いつかれながらも、今シーズンを象徴する粘り強さを発揮して1‐1のドローで逃げ切った。1年前はドイツでの充電も視野に入れていた曹貴裁(チョウ・キジェ)監督が一転して6年目の指揮を執り、これまでとは異なる「湘南スタイル」を発動させるまでの試行錯誤を追った。(取材・文:藤江直人)

浦和・長澤和輝、急速に増す存在感。ハリルJ入りも期待。“逆輸入”選手がドイツで備えた術

10年ぶりのアジア王者を目指す浦和レッズで、ブンデスリーガ帰りのMF長澤和輝の存在感が増している。専修大学から加入したケルンで重心が低く、力強いプレースタイルを身につけた25歳は、22日のガンバ大阪との明治安田生命J1リーグ第30節でJ1初先発。大雨で劣悪なピッチ状態となった埼玉スタジアムで、豊富な運動量と球際における強さを存分に披露し、視察に訪れていた日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督を「いい発見だ」と称賛させた。(取材・文:藤江直人)

札幌・稲本潤一の大仕事。約1年3ヶ月の空白を経て。38歳ベテランが導いたJ1残留王手

北海道コンサドーレ札幌が15戦目にしてアウェイ初勝利をあげて、16年ぶりのJ1残留へ王手をかけた。味の素スタジアムで行われたFC東京との21日の明治安田生命J1リーグ第30節で、FWジェイがあげた2ゴールをチーム一丸となって死守。あわや同点のピンチを迎えた後半31分には、直前に投入されていたMF稲本潤一がこん身の帰陣から会心のパスカットに成功。38歳になったベテランの濃密な経験値と状況判断力が凝縮された、語り継がれていくプレーに迫った。(取材・文:藤江直人)

いまでも「責任を感じている」金崎夢生との一件。前鹿島監督・石井正忠の回想録【インタビュー】

常勝軍団・鹿島アントラーズの歴史にさん然と輝くタイトルや激戦の系譜を刻みながら、今年5月31日に解任された石井正忠前監督(50)。11月6日発売の『フットボール批評issue18』では、次なる挑戦へ向けて充電中の石井氏へのロングインタビューを敢行。波瀾万丈に富んだ自身の経験を踏まえながら、監督の仕事を冷静な分析とともに振り返っていくなかで、いまも「責任を感じている」と残念がる一件を明かしてくれた。先んじてその一端を紹介する。(取材・文:藤江直人)

浦和が準備した守備の3ヶ条。フッキら擁する上海上港を完封で、いざACL決勝へ

浦和レッズが10年ぶり、日本勢としては2008シーズンのガンバ大阪以来、9年ぶりとなるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝進出を決めた。ホームの埼玉スタジアムに上海上港(中国)を迎えた準決勝第2戦を1‐0で制し、2戦合計で2‐1と振り切った。ハードワークと球際における激しい守備で強力攻撃陣を擁する上海を完封した、ハリルジャパンにも共通する泥臭いサッカーを具現化させた「守備の3ヶ条」を、DF槙野智章やGK西川周作の言葉から追った。(取材・文:藤江直人)

川崎F・小林悠、手繰り寄せた奇跡。見出した独自のキャプテン像、成長が具現化した劇的2ゴール

退場者を出して一人少ない状況で、なおかつ2点をリードされる絶体絶命の苦境を、後半終了間際に飛び出した怒涛の3連続ゴールでひっくり返す。Jリーグ史上に残る大逆転劇が生まれた14日の明治安田生命J1リーグ第29節。同点&逆転弾をベガルタ仙台のゴールに突き刺し、ホームの等々力陸上競技場に詰めかけたファンやサポーターを熱狂させた川崎フロンターレのキャプテン、FW小林悠の心に生まれていた「ある変化」が、奇跡の勝利を手繰り寄せた。(取材・文:藤江直人)

川崎Fの歴史が凝縮された90分。ルヴァン杯決勝進出、ACLの悔しさ糧に悲願の初タイトルへ

川崎フロンターレが前身のヤマザキナビスコカップ時代の2009シーズン以来、8年ぶり4度目の決勝進出を決めた。ホームの等々力陸上競技場にベガルタ仙台を迎えた8日のYBCルヴァンカップ準決勝第2戦で、退場者を出して一人少ない状況ながら3‐1で勝利。第1戦の黒星から2戦合計スコアで5‐4と逆転した90分間には、大黒柱のMF中村憲剛が経験した6度の“2位”を触媒として、2000年代から紡がれてきたフロンターレの進化の歴史が凝縮されていた。(取材・文:藤江直人)

川崎F・車屋紳太郎、SB転向3年目で挑む日本代表。ハリルが探し求める左利き選手の武器

日本代表に初選出されたDF車屋紳太郎(川崎フロンターレ)が、新たな武器を身につけつつある。セレッソ大阪をホームの等々力陸上競技場に迎えた9月30日の明治安田生命J1リーグ第28節で、コントロールを重視した低速クロスで後半7分のDFエウシーニョのゴールの起点になった。大黒柱のMF中村憲剛も絶賛する身体能力の高さに、稀有な左利きの左サイドバックだからこそ放てる技ありのクロスを融合させて、ハリルジャパンへの定着をかけた戦いに挑む。(取材・文:藤江直人)

ハリルJ、なぜ新戦力は車屋のみ? W杯本大会へ、サバイバルかかる2連戦

ニュージーランド代表(10月6日、豊田スタジアム)、ハイチ代表(同10日、日産スタジアム)とのキリンチャレンジカップ2017に臨む日本代表メンバー24人が28日、日本サッカー協会から発表された。初招集はDF車屋紳太郎(川崎フロンターレ)だけで、これまで招集されながら出場時間が少なかった選手が中心の編成となった理由を、都内で記者会見に臨んだヴァイッド・ハリルホジッチ監督の言葉から読み取った。(取材・文:藤江直人)

鹿島を復活させた「3つの要求」。王者に隙なし、J1記録での連覇も視野に

王者・鹿島アントラーズが独走態勢に入った。ガンバ大阪をカシマサッカースタジアムに迎えた23日の明治安田生命J1リーグ第27節で、後半アディショナルタイムにDF植田直通が劇的な決勝ゴールを決めて5連勝をマーク。序盤戦の不振から、大岩剛監督の就任とともに鮮やかなV字回復を遂げた今シーズン。3連覇が途切れた2010シーズン以降では最多となる「61」の勝ち点を獲得し、2位の柏レイソルに8ポイント差をつける圧倒的な強さの源泉を探った。(取材・文・藤江直人)

筑波大学、天皇杯16強敗退も“ジャイキリ”連発で残した衝撃。青年たちが経た大冒険

第97回天皇杯全日本サッカー選手権大会で、Jリーグ勢相手にジャイアントキリングを演じ続けた筑波大学(茨城県代表)の旋風が止まった。カシマサッカースタジアムでJ1の大宮アルディージャと対峙した20日の4回戦で0‐2と敗れ、1992年のJリーグ発足後では初めてとなる大学勢のベスト8進出を逃した。卒業後にはジュビロ磐田への加入が内定しているFW中野誠也(4年)が“幻”の同点ゴールを放つなど、互角以上の戦いを演じた90分間の価値を追った。(取材・文:藤江直人)

齋藤学、「不安」からの解放。出場24戦目の今季初ゴール、横浜FM「10番」・主将の反撃

横浜F・マリノスのMF齋藤学が、出場24試合目にして待望の今シーズン初ゴールをあげた。柏レイソルを日産スタジアムに迎えた、16日の柏レイソルとの明治安田生命J1リーグ第26節の前半9分に鮮やかなミドルシュートを一閃。レイソルとの上位対決は無念の引き分けに終わり、残り8試合で首位・鹿島アントラーズとの勝ち点差は10ポイントに広がったが、今シーズンからキャプテンと「10番」を引き継いだ27歳のエースはファイティングポーズを失っていない。(取材・文:藤江直人)

浦和、怒涛の4連続ゴールで奇跡の逆転準決勝進出。ぶれなかった「ACL制覇」の目標

浦和レッズが奇跡の逆転勝利をあげて、2008シーズン以来、通算3度目となるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のベスト4進出を決めた。川崎フロンターレの先勝で迎えた13日の準々決勝第2戦で、前半19分に先制される苦境から怒涛の4連続ゴールをゲット。2戦合計で5‐4と大逆転を果たしたホーム・埼玉スタジアムでの大一番にかけた3人のベテラン、FW興梠慎三(31)、MF柏木陽介(29)、DF槙野智章(30)が胸中に秘めた思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

大島僚太の急激な進化。中村憲剛が日本代表復帰に太鼓判、川崎Fの背番号10

優勝戦線への生き残りをかけた大一番で、川崎フロンターレのMF大島僚太が眩い存在感を放った。14戦連続負けなしの横浜F・マリノスを等々力陸上競技場に迎えた9日の明治安田生命J1リーグ第25節で、開始14分に今シーズン初ゴールとなる先制弾を一閃。守っても献身的で、球際も激しい守備で3‐0の完封勝利に貢献した。ハリルジャパンから遠ざかること約1年。怖さを増す「10番」に、大黒柱のMF中村憲剛は「得点力がついてくれば、普通に代表でやれる」と太鼓判を押した。(取材・文:藤江直人)

浅野拓磨、殊勲のゴールも強める危機感。約1年ぶりの先発、確固たる居場所を築くために

ハリルジャパンのスピードスター、FW浅野拓磨(シュツットガルト)が生き残りへ向けて決意を新たにしている。6大会連続6度目のワールドカップ出場を決めたオーストラリア代表戦で約1年ぶりに先発として抜擢され、均衡を破る先制ゴールもゲット。歴史にその名を刻んだが、歓喜のシーン以外のパフォーマンスには到底満足していない。むしろ危機感を強めて、ロシア大会までに残された約9ヶ月間で総合的な力を高め、日本代表のなかに確固たる居場所を築きあげようと自らを奮い立たせている。(取材・文:藤江直人)

長谷部誠とハリルの絆。日本代表不動のキャプテン、代えの利かない大黒柱が胸中に抱くもの

ハリルジャパンが歴史を変えた。ワールドカップ予選で5分け2敗と未勝利だったオーストラリア代表と対峙した、8月31日のアジア最終予選(埼玉スタジアム)で攻守ともに難敵を圧倒。2‐0の快勝劇で6大会連続6度目の本大会出場を決めた。右ひざの手術を乗り越え、昨年11月以来の復帰を果たしたMF長谷部誠(33)はアンカーとして先発フル出場。3度目のヒノキ舞台となるロシア大会へ。4人の歴代代表監督のもとでキャプテンを務めてきた、代役の利かない大黒柱が胸中に抱く思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

長友佑都、決戦直前も周囲に与える余裕。オーストラリア撃破へ、修羅場くくったベテランの経験

勝てば日本代表の6大会連続6度目のワールドカップ出場が決まる、オーストラリア代表とのアジア最終予選第9戦が31日午後7時35分、埼玉スタジアムでキックオフを迎える。帰国直前のセリエAで左太ももに張りを訴え、途中交代していた左サイドバックの長友佑都(インテル・ミラノ)も心配無用とばかりに、冒頭15分間以外は非公開で行われた29日の練習を消化した。来月には31歳になるベテランが描く難敵の攻略法と、胸の奥底に脈打たせる日本代表への熱き思いに迫った。(取材・文:藤江直人)

C大阪・杉本健勇、満を持しての日本代表招集。悔しさを起爆剤に。進化続ける心技体

勝てば6大会連続6度目のワールドカップ出場が決まる、31日のオーストラリア代表とのアジア最終予選第9戦(埼玉スタジアム)へ向けて、ハリルジャパンが27日に埼玉県内で始動した。27人の代表メンバーのなかで唯一の初招集となるセレッソ大阪の大型ストライカー・杉本健勇(24)は、0‐1で苦杯をなめた26日夜の鹿島アントラーズとの首位攻防戦で募らせた悔しさを起爆剤にして、いままさに進化を遂げている心技体をさらにスケールアップさせていく。(取材・文:藤江直人)

川崎Fが到達した新境地。クラブ史上初のACLベスト4へ、中村憲剛の確かな手応え

日本勢同士の激突となった、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝第1戦を川崎フロンターレが制した。ホームの等々力陸上競技場に浦和レッズを迎えた23日の大一番で3ゴールを奪い、守っては1失点に封じてクラブ史上初のベスト4進出へ王手をかけた。鬼木達新監督のもとでなかなかエンジンがかからなかった序盤戦から右肩上がりの復活曲線を描き、クラブの歴史に新たな1ページを刻もうとしている要因を、チームひと筋15年目のバンディエラ、MF中村憲剛(36)の言葉から紐解いた。(取材・文:藤江直人)

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