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Jリーグ 1か月前

一瞬の以心伝心。1人少ない横浜F・マリノスはなぜ勝てたのか?山根陸の脳裏にあった狙い「さらに役割は鮮明」【ACLコラム】

シリーズ:コラム text by 藤江直人 photo by Getty Images

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AFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝セカンドレグ、横浜F・マリノス対山東泰山が13日に行われ、1-0で勝利したマリノスが準決勝進出を決めた。永戸勝也の退場により1人少なくなったマリノスはなぜ勝利できたのか。途中出場でピッチに立った山根陸は、重要な役割を果たしていた。(取材・文:藤江直人)


宮市亮に届いた山根陸の声

山東泰山に勝利した横浜F・マリノス
【写真:Getty Images】

 山根陸の声はちょっぴりかれていた。ベンチスタートだった山東泰山(中国)とのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝セカンドレグで、横浜国際総合競技場のピッチに急きょ立ったのは53分。決して長くなかったプレー時間のなかで、原因について「多分、あれかな」と思い当たる場面があった。

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 右サイドバックの松原健が、ハーフウェイライン付近から前方へロングボールを供給。群を抜くスピードを武器とするFW宮市亮を、右コーナーフラッグ付近へ走らせた75分のカウンター。ボールを収めた直後に相手選手2人に囲まれた宮市へ向けて、山根はあらん限りの大声を張り上げていたからだ。

「リョウ!」

 ボランチの位置からリスクを冒して攻め上がってきた山根の姿だけでなく、パスを要求した叫び声にも宮市は気がついていた。しかも、山根を追う山東泰山の選手は誰もいなかった。宮市が声を弾ませる。

「見たら陸がフリーだったし、本当にいい位置に入ってきてくれた。あとは預けるだけでした」

 右角あたりから侵入したペナルティーエリア内で、宮市がマイナス方向へ送ったパスを託された山根の前には、キャプテンのDFジャジソンしかいない。フェイクをひとつ入れ、次の瞬間、逆方向の前方へ小さく持ち出してジャジソンをかわしながら、山根はファーサイドの状況をしっかりと視認していた。

「ロペスが(マーカーから)離れてフリーになる、素晴らしい動きをしてくれたのが見えていました」

 ボールを持つ山根の動きにMFウー・シンハンが気を取られたわずかな隙に、FWアンデルソン・ロペスはそのマークから外れた。死角となる背後へ回るだけでなく、シンハンとの距離を一気に広げていく。利き足の左足を振り抜くスペースを作ろうとした意図を、山根もとっさに感じ取っていた。

 次の瞬間、シンハンの頭上を緩やかに越えるパスの落ち際でロペスが豪快に振り抜く。強烈な弾道を対角線上のゴール右へ突き刺した昨シーズンのJ1得点王は「もしトラップしていたら、相手に詰め寄られてシュートには至らなかった」と振り返りながら、以心伝心のアシストを決めた山根を称賛した。

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